― 量子コンピューターセキュリティへの早期対応を評価。Migrosが優秀賞、NTTデータがファイナリストに選出 ―
デジタルトラストの世界的リーディング・プロバイダーである米デジサート・インク(本社:ユタ州リーハイ、非公開企業、以下デジサート)は、年次アワードの「DigiCert® Quantum Readiness Awards」の選考結果を発表しました。スイス最大手の小売企業であるMigrosが優秀賞を受賞し、デジタルビジネスおよび技術サービスのグローバルリーダーである株式会社NTTデータ(以下、NTTデータ)がファイナリストに選ばれました。本アワードは、量子コンピューターがもたらすサイバーセキュリティ上の脅威と、組織が今すぐに取るべき対策への理解を深めることを目的に、デジサートが実施する「World Quantum Readiness Day」活動の一環として授与されるものです。
Migros社は、量子コンピューター時代に向けた全社的かつ計画的な取り組みが評価され、今回の受賞に至りました。主な取り組みは以下の通りです。
- エクセレンスセンターを設立し、2030年までに量子コンピューターへの準備を完了させるという明確な目標を設定。
- リスクベースの戦略を採用し、新規アセットには初期段階から耐量子コンピューター暗号(PQC)対策を適用。既存アセットについては、データの機密性に応じて優先順位を設定。
- ハイブリッド暗号技術の活用と強固なガバナンス体制を確立し、企業全体の継続性とレジリエンスを高めるとともに、経営層の支援を確保。
Migros社のグループ最高セキュリティ・リスク責任者ルカス・ルフ(Lukas Ruf)氏は、次のように述べています。
「Migrosにとって量子コンピューターへの備えは、お客様の信頼を守るという当社の使命に一致する自然な取り組みです。エクセレンスセンターの設立、ハイブリッド暗号技術の採用、詳細なガバナンス要件の組み込みを通じて、当社のシステムが安全かつ持続可能に進化できるよう取り組んでいます。今回の受賞は、経営層、セキュリティチーム、および関係者が、現在の脅威だけでなく、量子コンピューター時代の課題にも積極的に準備していることを示すものです」
NTTデータは、保険サービスプラットフォーム全体において、量子コンピューター対応を運用レベルで組み込んだ点が評価され、ファイナリストに選出されました。
- DigiCert Trust Lifecycle Manager を活用し、証明書のインベントリ管理を行うことで、包括的な暗号の可視化とリスクマッピングを実現。機密性の高い長期保存データフローを特定し、Harvest-Now, Decrypt-Later(今収集し、後で解読する)攻撃のリスクに基づいて優先順位付け。
- 暗号アジリティを大規模に推進し、47日間の証明書ライフサイクルを運用化して、耐量子コンピューター暗号(PQC)導入前に迅速な証明書のローテーション、自動化、およびポリシー適用のリハーサルを実施。
- ハイブリッド暗号技術とクラウドガバナンスに対応した設計を行い、AWS、Azure、Google Cloud上での古典暗号と耐量子コンピューター暗号(PQC)モードを組み合わせたシステムを設計。さらにエコシステム全体の量子対応力を高めるためのベストプラクティスを積極的に公開・共有。
株式会社NTTデータ セキュリティ&ネットワーク事業部長の鴨田 浩明氏は次のように述べています。
「NTTデータでは、ITシステムの量子対応を一過性の取り組みではなく、運用段階においても継続的に維持すべき「ガバナンス」の取り組みと位置づけています。そのため、「システムのどの部分で、どの暗号技術が使用されているか」を、即座に可視化・確認できる状態を維持することが重要であると考えています。当社は、証明書や鍵管理システム、クラウド環境などの領域においても、この取り組みを推進しています。今回の受賞は、お客様が安心して量子コンピュータ時代の未来へと歩みを進められるよう、当社のチームおよびパートナー各社が一体となって取り組んできた成果です。」
今年の受賞者は、以下のメンバーを中心とする専門家パネルの審査員によって選ばれました。
- Blair Canavan(Thales PQC ポートフォリオ ディレクター)
- Tim Hollebeek(DigiCert 業界標準担当 VP)
- Dr. Ali El Kaafarani(PQShield CEO)
- Bill Newhouse(NIST NCCoE プロジェクトリード)
- Alan Shimel(TechStrong Group CEO)
- Hugh Thompson(RSAC 会長)
デジサートの業界基準担当VPであり、量子コンピューター対応準備賞の審査員であるティム・ホロビーク(Tim Hollebeek)は以下のように述べています。
「量子コンピューティングは、計算能力を飛躍的に高める一方で、デジタルセキュリティを支える暗号基盤を脅かす要因にもなります。NTTデータのアジリティとハイブリッド暗号運用への注力、そしてMigrosの経営層との強固な連携によるガバナンス重視の取り組みは、いずれも厳格かつ実践的な準備のモデルを示しています。両社は効果的な量子コンピューターへの効果的な準備とは何かを具体的に示し、業界全体にとって有益なベンチマークとなっています」
DigiCert Quantum Readiness Awardは、量子コンピュータ時代への準備において革新性、先見性、行動力を示した組織を讃えます。多くの企業が依然として準備不足であると指摘される中、NTTデータとMigrosは、量子コンピューター対応をビジネスおよび運用の優先課題として取り組む点で際立っています。
耐量子コンピューター対応のセキュリティソリューションに関する詳しい情報は、以下をご覧ください。 www.digicert.com/solutions/security-solutions-for-post-quantum-computing
デジサート(DigiCert、Inc.)について:
米デジサート・インク(本社:ユタ州リーハイ、非公開企業)は、インターネット上で人と企業が電子的な信頼でつながることができるようにする、デジタルトラストの世界的なリーディング・プロバイダーです。そのデジタルトラストを強固にするプラットフォームが DigiCert® ONEです。パブリックトラストとプライベートトラストの幅広いニーズをめぐって一元的な可視化と制御を実現し、ウェブサイト、企業のアクセスと通信、ソフトウェア、ID、コンテンツ、デバイスを保護します。デジサートは、受賞歴のあるソフトウェアと、標準、サポート、運用に関する業界のリーダーシップとを結び付けており、全世界の主要企業に選ばれるデジタルトラストプロバイダーです。
また、デジサート・ジャパン合同会社は、⽶デジサート・インクの100%間接保有⼦会社です。
最近のデジサートに関するニュースや情報は、デジサートのwebサイト www.digicert.com/jp/news#pr 、もしくは@digicert(英語)をご覧下さい。