■ 最優秀賞はNTTぷららの「ひかりTV」、4Kコンテンツの積極的な展開に高評価
■ 審査員特別賞はPerform Investment Japanの「DAZN」、スポーツ特化型サービスが高評価
■ 検索機能の精度向上や映像以外の他サービスとの連携が加速する
MM総研(東京都港区、所長 中島 洋)は優れた映像配信サービスを表彰する「スマートTVサービスAWARD2018」の調査を実施し、有識者会議による最終審査を終えて調査結果を発表しました。最優秀賞にはNTTぷららが提供する「ひかりTV」※が選ばれて、8年連続の受賞となりました。
MM総研では2011年に映像配信市場の発展を牽引するサービスを表彰する「映像配信サービスAWARD」を創設しました。2014年からは調査内容の充実とともに、スマートTVサービス市場の拡大に対応し、調査名称も「スマートTVサービスAWARD」にリニューアルしました。今回の調査は8回目となり4Kへの対応、サービス内容や提供チャネルの充実など顧客ニーズの高い要素を重視したことに加えて、今年は新たに市場成長性も重視して評価しました。
本調査では主要な10事業者に対して、8分野32項目に関する評価を実施、各評価項目の評価スコアにより、ランキングしました。審査過程においては2,000人を対象にしたユーザーのアンケート調査も実施し、有識者会議による最終審査を経て、下記のとおり(図1)、上位サービスを選びました。その中で総合的に最も評価の高いサービスを「スマートTVサービスAWARD2018」の最優秀賞として選出しました。また、特徴あるビジネスモデルを持つサービスを審査員特別賞として選出しています。
図1:スマートTVサービスAWARD2018 トップ5
総合評価スコアでは、NTTぷららの「ひかりTV」が78.9点(100点満点中)と最高ポイントとなり、総合評価AAを獲得して最優秀賞を受賞しました。ひかりTVは評価対象の8分野のうち、先進性、コアバリューの2分野で最も高い評価を獲得。4K映像作品の拡充とともに、ゲームや音楽配信などのサービス展開やマルチデバイスへの対応、2017年度から4Kテレビの量販店での訴求強化をしています。さらに、「ひかりTV for docomo」、「ひかりTV for NURO」、「ひかりTV with CATV」の取り組みや、先進技術を用いたトータルサポートの強化策など、スマートTVサービスとしての先進性と、普及拡大への取り組みが高く評価されました。
第2位はAmazonが提供する「Amazonビデオ」でした。昨年に続き顧客志向性(機能)の分野で最も高い評価を得て、1.7点アップ。総合評価スコア77.9点を獲得し順位を1つ上げました。プライム会員になることで他社サービスに比べ低価格で映像サービスを受けられることに加え、商品の配送料無料やPrime music、プライム・フォト、Amazonパントリーなどとの連携、さらにオリジナル作品の充実が図られた点が評価されました。
第3位はドコモが提供する「dTV」でした。市場性で最も高い評価を得て、総合評価77.5点を獲得しました。充実した作品数に加え、オリジナル作品の制作への注力度、2018年1月30日から「dTVチャンネル」の提供を開始するなど、従来のサービス内容及びジャンルをさらに拡大するなど顧客満足度が高かった点が評価されました。
審査員特別賞は、Perform Investment Japanが提供する「DAZN」が受賞しました。2016年8月のサービス提供開始からわずか1年で会員数100万人を達成し、スポーツに特化していて、提供サービスの内容の充実度が評価されました。
「スマートTVサービスAWARD2018」では、従来の映像配信サービスからスマートTVサービスへの移行を見据えた4K映像やコンテンツラインアップの拡充に加え、映像品質を担保し、安定的に放送できる取り組みを行っている事業者が高いスコアを獲得する結果となりました。オープンネットワーク(インターネット)やクローズドネットワークに対応し、ユーザーに選択肢を用意している点も評価のポイントとなっています。
■検索機能の精度向上や映像以外の他サービスとの連携が加速する
スマートTVサービスでは4K映像への対応や多様なコンテンツの拡充、レコメンド機能など、先進的な試みが継続的に行われています。オープンネットワーク(インターネット)による配信だけでなく、閉域網にて安定的な配信を担保する事業者も存在し、ユーザーの選択肢も広がっています。音声認識やAIなどの他サービスとの連携も増え、検索機能やレコメンド機能の利便性が高まることで、各ユーザー個別の趣味嗜好に対応したコンテンツをより簡単に見つけやすくなることが予想されます。また映像コンテンツの提供だけでなく、スマートホームをはじめとした他のサービスと連携させたビジネスモデルがさらに増加していくと推測しています。
本AWARDの審査ではコンシューマ向けに多チャンネル放送やVOD等の動画サービスを中心に、様々なコンテンツを提供する主要な10事業者(詳細は後述)を対象に調査しました。
「先進性」、「市場性」、「コアバリュー」、「顧客志向性(サービス)」、「顧客志向性(機能)」、「顧客満足度」、「スマートTVサービス期待度」、「スマートTVサービス認知度」の全8分野について、本年は合計32項目の重要度を加味し、ポイント化して評価しました。また一部の項目については各サービス利用者から、合計2,000人を対象にアンケート調査を実施し、ユーザーの声も反映させています。
MM総研では、スマートTVサービスを「インターネット等を通じて映像や様々なエンタテインメントサービスを提供し、デバイス間連携による機能拡張を実現するテレビ端末やSTBを利用したサービス」と定義し、市場発展に影響を与えるサービスを総合的に調査・評価しています。
※ひかりTVのテレビ(放送)サービスは、株式会社アイキャストが提供しています。
※調査対象の10事業者およびサービスは以下の通りです。
Amazon「Amazonビデオ」、HJホールディングス「Hulu」、NTTドコモ「dTV」、
NTTぷらら「ひかりTV」、ケイ・オプティコム「eo光テレビ」、ジュピターテレコム「J:COM TV」、
スカパーJSAT「スカパー!」、Netflix「NETFLIX」、Perform Investment Japan「DAZN」、
U-NEXT「U-NEXT」
有識者による代表的なコメントは以下の通りです。
・安田 浩氏(東京電機大学 学長/東京大学名誉教授):
「スマートTVでは今後、通販との連携は不可欠。日本では諸外国に比べ遅れている電子マネーの普及にも着目すべきだろう。またユーザーの趣味嗜好が固まりスマートTVサービスの内容が拡充した今、レコメンデーション機能の精度向上がさらに必要となるだろう。それに付随して、サービス提供者はニーズに即した優れた検索エンジンの開発が求められ、今後はAIに対して高い技術力を有する企業が勝ち残っていくだろう。」
・北村 森氏(商品ジャーナリスト/サイバー大学IT総合学部教授):
「4K放送開始に伴い事業者は、ユーザーに対し4K/8K放送を簡単に視聴体験できるサービスを提供する配慮が必要だろう。事業者は、ユーザーが“見たい”と思うコンテンツへ簡単に行きつけるサービスの提供とともに、それらに関わる商材を、ファンクラブ会員など特定サービス加入者には安く提供するなど、オンラインとオフラインの連携が今後さらに必要になるだろう。またコンテンツをもつ各事業者は、今後一つの大きなプラットフォームに横断的にコンテンツを集約し、サービスを提供することが求められるだろう。」
・森 祐治氏(電通コンサルティング代表取締役社長・シニアディレクター/亜細亜大学都市創造学部・大学院アジア国際経営戦略研究科特任教授):
「Amazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーの登場により、スマートテレビとの連携がより一層期待される。今後はスマートホームと連携のニーズが、より一層高まっていくだろう。昨年に引き続き、スマートTVサービス以外の付加価値の提供に注目できる。また今回特別賞を受賞した「DAZN」は、スポーツに特化する中でさらにジャンルを分けてチャンネルを設けている点が良かった。今後の一つの方向性を示したと考えている。」
・中島 洋(MM総研 代表取締役所長)
「スマートTVの「スマート」はどんどん機能が豊富になっているので明確な定義がしにくいが、大雑把に言えば「コンピューターによって機能が豊富な」というような意味合いになっている。コンピューター機能満載のスマホがウェブサイトの検索やマネー、ヘルスケアへと適用範囲を広げ、テレビサービスもスマホを取り込むとともにウェブサイト検索やマネー、ヘルスケアなど多様なものをそろえるようになった。評価・採点は一段と難しくなっている。」
■スマートTVサービスAWARD2018 ロゴマーク
図2:スマートTVサービスAWARD2018 ロゴマーク