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台湾製ドローンがASEAN市場におけるスマート農業を拡大

-ASEAN各国で着実に実用化実績を重ね、農業や広域防災などに豊富な知見を蓄積-

フランスの調査会社IPSOS社のDrone Center of Excellenceによると、世界の商用ドローン市場の規模はすでに消費者用ドローン市場を上回り、2021年までに100億USドルに達すると予測されています。現在、商用ドローンはインフラの調査や地図の作成、農業技術、石油・ガス探査などさまざまな分野であらゆる用途向けに開発が進められていますが、台湾はその最先端を担っています。開発の範囲を情報通信テクノロジーや航空宇宙、農業など数多くの領域に広げ、商用ドローンの多様な用途を示しています。

台湾のドローン産業に対する関心の高まりは、台湾貿易センター(TAITRA)が隔年に開催している「台北航空宇宙・防衛技術展(TADTE)/DRONE TAIWAN」に見ることができます。昨年開催されたTADTE2019の開催レポートによると出展者数は13%増加、来場者数は4万2,000人を超えました。海外バイヤーの数も27%増加し、そのほとんどが欧米やASEAN諸国からのバイヤーでした。TAITRAの黄志芳会長は次のように述べています。「台湾の航空宇宙産業は材料・部品から製品、サービスまでを包括したサプライチェーンを構築しており、海外市場でもその品質の良さが高く評価されています」と述べています。台湾のドローン産業はTADTEに続き、2020年には台湾Expoや台湾エクセレンスパビリオンへの初出展も予定されており、TAITRAの強力な支援のもとASEAN各国への展開を一層強化します」

TAIWAN EXCELLENCEやTADTEに見る最新のドローン活用ソリューション事例
~日本、台湾と同様、高齢化、労働力不足に悩むASEAN農業をスマート農業で活性化

TAITRAと台湾政府経済部が台湾産業の総合的なプロモーション計画を策定する中で、近年、「Made in Taiwan」の無人機にきわめて大きな可能性と潜在能力があることが明らかになってきました。革新的なブランドや製品を表彰することで台湾製品振興を牽引している台湾エクセレンス賞においても、さまざまな市場や業界でのドローンの活用による生産性を提案するソリューションが選ばれています。

例えば、農業分野への応用で既にASEAN市場を中心に高い評価を得ているGEOSAT Aerospace & Technology社はマレーシアに設立した合弁会社が商用ドローンを活用して、現地のパーム油や米の生産量を拡大させています。フィリピンと台湾エクセレンスのスマートシティセミナーでは、GEOSATのスマート農業用無人ヘリコプター「ALPAS II」 (写真上)を活用してスマート農業を推進するソリューションが紹介され、ミンダナオ島の多数のアグリビジネス企業から賞賛されました。

台湾や近隣のインド太平洋地域が精密農業に向かう一方で、日本と同様、こうした地域はいずれも、高齢化と労働量不足という2つの深刻な課題に直面しています。TAITRAのプレジデント兼CEOであるWalter Yeh(葉明水)はこう述べています。「高齢化や労働力不足の問題は、農薬散布用ドローンなどを始めとするスマート農業を推し進めることで、で多くの課題を解決することができるはずです」

現在台湾では、「5+2」産業イノベーション計画(5+2 Industrial Innovation Plan) が国家戦略として強力に推進されています。「5+2」は、台湾の基幹産業である5大イノベーション産業(アジアのシリコンバレー・スマート機器・グリーンエネルギー・バイオ医療・国防産業)に新農業と循環型経済を加えたものですが、こうした政府の後押しも受け台湾のドローン関連サービスの事業者は、積極的に産学連携でスタートした「新農業テクノロジー」の可能性を探っており、業界の枠を超えた提携の機会を求めています。

このほかにも、台湾エクセレンス賞を受賞した企業による最近の農業や防災へのドローン活用の画期的な実用化事例としては、次のようなものがあります。

TADTEで農作物育成管理用ヘリコプター「DEMETER E1」(2019年度台湾エクセレンス賞)のデモンストレーションを行ったALIGN社では、本展示会直後に嘉義市の農業組合と戦略パートナーシップを結び、同市の水田の農薬散布を支援しました。

「CX-180農業用同軸ヘリコプター」を開発したThunder Tiger社は、スマート農業におけるシェア拡大を目指してLanlix Crop Science社との合弁会社を設立しました。Thunder Tigerはさらに、Chunghwa Telecom(春華電信)との技術提携によってCX-180ドローンの改良を進め、複合災害による通信障害を克服する「Chunghua Telecom Unmanned Air Systems(春華電信無人航行システム)」(CHTUAS)を開発しています。

ドローン業界の詳細については、台湾エクセレンス賞のウェブサイト(https://www.taiwanexcellence.org/en)をご参照ください。

台湾エクセレンス賞について
台湾エクセレンス賞(Taiwan Excellence Award)は台湾製品のイメージアップやグローバル市場へのプロモーションを目的として1993年に設立されました。毎年、台湾の経済部による厳格な審査を経て受賞製品が選出されます。研究開発、デザイン、品質、マーケティングなどで卓越した製品のみがその称号を得ることができ、受賞すれば国際的な様々なマーケティングやプロモーションでロゴマークの使用が許されます。6本のアーチラインからなる、台湾エクセレンスロゴマークは「台湾伝統文化における円満を追求する心」を表し、「台湾が国家レベルで認めた優良製品」であることを証明するマークでもあります。 https://www.taiwanexcellence.org/jp

中華民国経済部国際貿易局について
中華民国経済部(日本の経済産業省に相当)国際貿易局(BOFT)は、貿易及び経済協力に関連する政策と規定の実施を担っています。1969年に設立されたBOFTの役割と位置づけは、変化し続ける世界経済と貿易環境のニーズを満たすべく定期的に調整されてきました。BOFTは国内外における貿易関連プロジェクト・イベントにおいて中華民国対外貿易発展協会(日本での名称は台湾貿易センター、略称TAITRA)を指導し、サポートしています。数十年に渡りTAITRAと緊密な連携を保っているBOFTはビジネス、貿易及び投資に関連する重要な政府プロジェクトを今後も引き続きTAITRAに委託し、あらゆる面から台湾の海外プロモーションを行っていきます。

台湾貿易センター(TAITRA)について
1970年に台湾の対外貿易促進を目的に、台湾政府と業界団体の支援により設立された非営利団体です。本部は台北にあり、台湾国内5箇所の事務所(桃園、新竹、台中、台南、高雄)と世界各地にある63の海外事務所をネットワーク化し、総勢1,300名以上のスタッフが台湾企業の国際競争力の強化、海外企業のビジネスマッチング、世界市場への進出をサポートしています。TAITRAは毎年、台湾で年間約40の国際専門見本市を主催する他、TWTC台北国際展示ホール、TWTC南港国際展示ホール、TICC台北国際会議センターなどの施設を運営しています。1973年に東京で日本事務所を設立以来、台日パートナーシップの強化を目指し、数多くの見本市へ出展するなど、日本・台湾間の貿易振興を図っています。また日本企業に対し、台湾からの調達及び台湾への投資、台湾で開催される国際専門見本市への参観及び出展誘致などを行っています。現在、台湾貿易センターは日本国内に3箇所の事務所(東京、大阪、福岡)を設けています。 https://tokyo.taiwantrade.com/

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