2020年3月19日

アリババクラウド、新型コロナウイルス感染症との戦いを支援する

AIとクラウド・サービスを提供
DingTalkをベースにした国際医療専門家コミュニケーション・プラットフォームを発表

【中国、杭州発】アリババグループのデータ・インテリジェンス・バックボーンであるアリババクラウドは、本日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックとの戦いを支援するために、世界中の医療関係者に先進的なクラウド・ベースの技術アプリケーションを提供することを発表しました。

今回提供される、A I(人工知能)によって強化されたイノベーションは、新型コロナウイルス感染症が中国で最初に発生したときに得られた知識と洞察に基づいて開発されています。

一連のクラウドネイティブな新型コロナウイルス感染症対策ソリューションは、アリババクラウドのソリューション専門家である、アリババDAMOアカデミー(Alibaba DAMO Academy)の科学者と研究者、そしてDingTalkの技術チームが共同で開発しました。新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大する中、DingTalkは、在宅学習プラットフォームのひとつとして、ユネスコ(UNESCO、国際連合教育科学文化機関)より推薦されました。

DingTalkは、ライブ・ストリームのオンライン授業を通じて、中国全土の1億2,000万人以上の学生を支援することで知られています。今回、アリババのチームは一歩前進し、アリババクラウドが主催する、「DingTalk国際医療専門家コミュニケーション・プラットフォーム(DingTalk’s International Medical Expert Communication Platform)」を発表しました。このプラットフォームは、世界の医療関係者が集結し新型コロナウイルス感染症に関する最前の医療対策を実施している、浙江大学第一付属病院などの中国の医療機関の医師と直接連絡を取ることができる無料の通信手段を提供します。

アリババクラウドは、ビデオ会議機能と11カ国語(日本語、英語、中国語、スペイン語、フランス語、ロシア語、タイ語、トルコ語、ベトナム語、アラビア語、マレー語)に対応するリアルタイムAI翻訳を介して、中国の医師と世界中の医師をつなぐバーチャル・コミュニティの構築を目指しています。このコミュニティを通じて、世界中の医師らは中国の医師との情報共有が可能となり、最前線の医療対策に関する情報を得ることができます。

現在、アリババのグローバル研究イニシアティブであるアリババDAMO アカデミーは、下記3つの実証済みソリューションを世界中の医療専門家や研究機関向けに無料で提供しています。アリババクラウドは、各国のパートナーと協力し、現地の法律や規制に従って関連するサービスやソリューションを提供する予定です。

「流行予測ソリューション(Epidemic Prediction Solution)」は、特定の地域における新型コロナウイルス感染症の流行の特徴をモデル化し、流行の規模、ピーク時間、期間、および流行の広がり傾向を、「楽観的」、「中立的」、および「悲観的」という3つのレベルで評価します。この機械学習のアルゴリズムはすでに、中国の31省のデータを検証し、平均98%の精度を達成しています。このソリューションは、政策立案者や医学研究者が、感染予防・制御対策や医療資源配分、旅行勧告などを実施する際に参考にすることができます。

「CT画像解析ソリューション(CT Imaging Analytics Solution)」は、新型コロナウイルス感染症を診断する際の検査精度と検出効率を大幅に向上させるCT画像解析技術サービスです。中国におけるデータを使用して学習したディープ・ラーニング・アルゴリズムにより、新型コロナウイルス感染症の異種を含む、さまざまな種類の肺炎の確率を予測することができます。また、肺領域のセグメンテーション法を使用して、肺全体に対する病変の割合と罹患体積比の計算も実行します。分析にかかる時間はわずか3~4秒で、データ転送時間は15~16秒と人間が検出するよりもおよそ60倍高速です。現在、中国では160以上の病院がこのソリューションを利用しています。

アリババDAMO アカデミー(中国語「達磨院」)のAIアルゴリズムでありアリババクラウド上で運用されている「コロナウイルス診断向けゲノム解析ソリューション(Genome Sequencing for Coronavirus Diagnostic Solution)」は、ウイルス遺伝子データのスクリーニング、進化解析、タンパク質構造解析、診断レポートを含む、コロナウイルス解析のためのウイルス・ゲノム解析ソリューションです。14時間以内に新型コロナウイルスの診断を完了することができ、これは中国で利用可能な他のゲノム解読ソリューションよりも5倍高速です。また、20人以上のゲノム解読を同時に実行できることから、各サンプルの結果を得るまでの時間を、PCR法の場合、通常、2時間かかっていたものを、約30分に短縮できます。このソリューションにより、疾病管理センター、病院、診療所、および研究所は、不十分な核酸検出能力、PCR法の高い偽陰性率、ウイルス突然変異の可能性といった課題に対処することができます。

新型コロナウイルス感染症の世界的流行に直面している今、先進のイノベーションを支援するには、極めてスケーラブルなスーパーコンピューティング能力が求められます。このニーズに応えるため、アリババクラウドは「エラスティック・ハイパフォーマンス・コンピューティング(E-HPC)フォー・ライフサイエンス・ソリューション(Elastic High-Performance Computing Solution for Life Sciences)」を提供しています。このクラウドネイティブの高性能コンピューティング・クラスタ・ソリューションは、生命科学アプリケーション、特に「コンピュテーショナル・ドリブン・ドラッグ・デザイン(Computational-Driven-Drug-Design、CDDD)」と「AIドリブン・ドラッグ・デザイン(AI-driven-Drug-Design、AIDDD)」の研究者向けに設計されています。このソリューションはすでに、中国の20の研究機関で使用されています。例えば、このソリューションを利用することで、清華大学は開発した新型コロナウイルス感染症肺炎向けインテリジェントCT診断システムの診断時間を10秒に短縮し、また中山大学は遺伝子構築の性能を25%高速化しています。アリババクラウドはまた、北京のグローバル・ヘルス・ドラッグ・ディスカバリー・インスチチュート(Global Health Drug Discovery Institute、GHDDI)と提携し、E-HPCを利用したAIドリブン創薬プラットフォームをローンチしました。

さらに、浙江大学医学院(FAHZU)第一付属病院の医師やその他の医療関係者の主な知識や経験について情報を共有することを目的に、馬雲公益基金会(ジャック・マー公益基金会)の発案・支援のもと、新型コロナウイルスと第一線で戦っていた医療専門家たちの知識と経験をまとめた『新型コロナウイルス感染予防・治療ハンドブック』が公開されています。このハンドブックは医療関係者向けに提供されており、 covid-19.alibabacloud.com/ からダウンロードできます。

■参考資料

【アリババクラウドについて】
2009年に設立されたアリババグループのデータインテリジェンスの中枢です。Gartnerの調べでは世界TOP3のIaaSプロバイダーの1つであり、IDCの調べでは中国最大のパブリッククラウドサービスプロバイダーです。アリババクラウドは、アリババグループのマーケットプレイスでビジネスを展開する事業者、スタートアップ企業、中小企業、政府関連機関をはじめとする世界中の事業者にクラウドコンピューティングサービスの包括的な製品群を提供しています。アリババクラウドは、国際オリンピック委員会のオフィシャルクラウドサービスパートナーです。http://www.alibabacloud.com

注:診療を含める臨床情報等は当該管轄の承認を受けた医療従事者により提供されており、本プレスリリースに記載されている情報は、そのような情報を基に作成しています。参照されているすべてのデータは、本プレスリリースの執筆時点のものであり、アリババクラウドは、情報に関するいかなる保証をしかねます。

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