2021年4月21日

シーメンス、次世代の包括的なハードウェア支援検証システムを提供

  • 次世代の仮想プラットフォーム、ハードウェア・エミュレーション、FPGAプロトタイピング技術をシームレスに統合し、検証サイクルを短縮化
  • お客様により実証されたVeloceファミリを拡大することで、ハードウェア支援検証システムの新たなスタンダードを確立

シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェア(以下シーメンス)は本日、高度な次世代の集積回路(IC)設計を素早く検証する、次世代のVeloce™ハードウェア支援による検証システムを発表しました。これは、クラス最高の仮想プラットフォーム、ハードウェア・エミュレーション、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)プロトタイピング技術を組み合わせ、最新の高度なハードウェア支援による検証手法を活用するための下地を構築する、初の完全な統合ソリューションです。

Veloceハードウェア支援による検証システムの新製品は、以下のとおりです。
仮想プラットフォームおよびソフトウェア対応検証のためのVeloce HYCON(HYbrid CONfigurable)。Veloce HYCONは、次世代のシステム・オン・チップ(SoC)設計のためにお客様が複雑なハイブリッド・エミュレーション・システムを設計および導入を可能にする、革新的な技術を提供します。
Veloce Stratoハードウェア・エミュレータのキャパシティをアップグレードした、Veloce Strato+。Veloce Strato+は、最大150億ゲートまで拡張できる業界最大キャパシティ・ロードマップにより、最高速のコモデル帯域幅と最短時間での結果表示能力、業界最高の総スループットを兼ね備えています。
エンタープライズ・レベルのFPGAプロトタイピングに向けたVeloce Primo。社内開発のエンタープライズ・プロトタイピング・ソリューションであり、業界トップのランタイム性能と、並外れて高速なプロトタイプ環境の立ち上げ能力を兼ね備えています。
デスクトップFPGAプロトタイピングに向けたVeloce proFPGA。Veloce proFPGA製品ファミリは、モジュール式アプローチによるエミュレーション容量をサポートし、幅広いデザインサイズ要件にわたり対応します。

この高度に連携したシステムは、今後のハードウェア支援による検証手法の方向性に対して新たな基準を打ち立てます。検証コストを削減しつつ、検証サイクルを合理化および最適化することで、ハードウェア / ソフトウェア / システム検証のインテリジェントなデジタル化を次なるレベルに引き上げます。

この検証サイクルのシームレスなアプローチを取ることにより、ターゲット市場に特化した現実的なワークロード、フレームワーク、ベンチマークによる消費電力および性能検証を、検証サイクルの早期に実現します。設計サイクルの早期に設計者が仮想SoCモデルを構築し、実際のファームウェアやソフトウェアをVeloce Strato+で実行開始でき、ハードウェアの設計が進んでも細部までの可視化を実現します。お客様はその後、同じ設計をVeloce Primoに移行して、実際のシステム速度に近いスピードで動かしつつ、ソフトウェア / ハードウェア・インターフェースを検証し、アプリケーション・レベルのソフトウェアを実行できます。Veloce Strato+とVeloce Primoは、このアプローチを可能な限り効率化するために、同じRTL、同じ仮想検証環境、同じトランザクターおよびモデルを使用して、検証に必要なコンポーネント、環境、テスト・コンテンツを最大限に再利用可能とします。シームレスな手法をサポートするにはこのような仕組みが不可欠です。

シーメンスEDAのシニア・バイスプレジデント兼ゼネラル・マネージャー、ラヴィ・スブラマニアン(Ravi Subramanian)は、次のように述べています。「半導体の新しいメガサイクルに入るなかで、ソフトウェアが支配するSoC設計の時代においては、新たな要件に対応するために機能検証システムを大幅に改良する必要があります。こうした新たな主要要件に対応する、次世代のVeloceシステムの発表は、シーメンスが次なる10年の明確なロードマップに従い、お客様に完全な統合システムを提供すべく集中的に投資していることの直接的な結果です。当社は本日の発表により、コンピューティングとストレージ、AI/ML、5G、ネットワーキング、自動車など、多様な業界にわたる新しい検証要件をサポートできる、システムの新たな基準を打ち立てています。」

拡張されたVeloceハードウェア支援による検証システムの重要ポイント
Veloce Strato+は、チップ、システム、ソフトウェア設計のイノベーションにより、Veloce Stratoプラットフォーム発表時の2017年に公開されたキャパシティ・ロードマップを実現できるようになっています。新しい独自の2.5DチップであるCrystal 3+の革新的な設計と製造により、システムのキャパシティは以前のVeloce Stratoシステムの1.5倍に増加しています。このイノベーションにより、Veloce Strato+は市場トップの150億ゲートというキャパシティを実現し、エミュレーション市場を主導します。これは、現在利用可能な最大有効キャパシティであり、既に複数のVeloce Strato+のお客様にご利用いただいています。

AMDのコーポレート・フェロー兼メソドロジー・アーキテクト、アレックス・スター(Alex Starr)氏は、次のように述べています。「AMDは、プレシリコン検証 / 機能の正当性を検証するソリューションの一部として、Veloceエミュレーション・プラットフォームを使用しています。当社が構築している高性能設計には、拡張性と信頼性に優れた革新的なエミュレーション・ソリューションが必要です。私たちは、シーメンスと協力して、他に先駆けて高キャパシティのVeloce Strato+システムを導入できることを喜ばしく思っています。さらに、第2および第3世代のAMD EPYC™プロセッサーが、Veloce StratoおよびVeloce Strato+プラットフォームで問題なく利用できることに、興奮すらおぼえています。両プロセッサ・ファミリの高性能な機能は、Veloceエコシステムと、AMDを含むその顧客に、新たなレベルの生産性をもたらします。」

Veloce Stratoシステムにより性能認証されたプロセッサー・リストはさらに拡大しており、本日からはAMD EPYC™ 7003シリーズ・プロセッサーも追加されます。こうした新しいプロセッサーは、ランタイム・ホストおよびコモデル・ホストとして、Veloce Stratoシステムで実行できることが完全に検証されています。

Veloce PrimoおよびVeloce proFPGAは、FPGAプロトタイピングに対して業界で最も強力かつ多用途なアプローチを採用しています。エンタープライズ・レベルのFPGAプロトタイピング・システムであるVeloce Primoは、優れた性能と、最大320 FPGAまで拡張するキャパシティ、ソフトウェア・ワークロード / 設計モデル / フロントエンド・コンパイル技術面でVeloce Stratoと一貫した作業モデルを同時に提供します。このエミュレーションとプロトタイピングの一貫性により、適切なツールを活用したエミュレーションとプロトタイピングの補完ソリューションが提供され、検証コストが削減され、最短サイクルで優れた成果を出せるようになります。Veloce Primoはまた、仮想(エミュレーション・オフロード)およびインサーキット・エミュレーション(ICE)使用モデルの双方をサポートし、両モードで正確なクロックレシオを維持しつつ、最高の性能を実現します。

Armの設計サービス担当シニア・ディレクター、トラン・グエン(Tran Nguyen)氏は、次のように述べています。「あらゆる業界でコンピューティングの需要が高まっており、市場導入時間が極めて重要になっています。ArmはシーメンスのVeloce PrimoエンタープライズFPGAプロトタイピング・ソリューションにより、速やかに設計の課題を解決して検証の目的を達成できるため、私たちのエコシステムは高品質のArmベースのSoCを提供し、迅速なイノベーションをサポートできます。」

Xilinxのコア・バーティカル・マーケット担当シニア・ディレクター、ヘネケ・クレケルス(Hanneke Krekels)氏は、次のように述べています。「当社は、シーメンスがVeloce Primoの発表によってFPGAプロトタイピング市場に加わったことを歓迎しています。Xilinxは顧客およびコラボレーション・パートナーとして、シーメンスと長年にわたる関係を構築してきました。当社が業界トップの最新のVirtex UltraScale+ VU19Pデバイスを提供し、この新しいソリューションに拡張性とキャパシティを実現できることを、喜ばしく思っています。」

Veloce proFPGAにより、世界に誇る実証済みのデスクトップ・プラットフォームを、(Pro Design社とのOEM契約を介して)Veloceハードウェア支援による検証システムに追加します。Veloce proFPGA製品ファミリは、キャパシティに対してモジュール式アプローチを採用し、 Intel Stratix 10 GX 10MやVirtex UltraScale+ VU19PデバイスなどのハイエンドFPGAに基づき、4,000万ゲートから8億ゲートまでの幅広いキャパシティ要求にわたる拡張性をもたらします。

Pro Design社のCEO、グンナー・ショール(Gunnar Scholl)氏は、次のように述べています。「proFPGAファミリに見られる先進技術は、現在のAI/ML、5G、データセンターのASIC設計を検証するために多くの利点をもたらします。私たちはシーメンスと提携できることを大変喜ばしく思っています。FPGAデスクトップ・プロトタイピング市場に関する私たちの集合的な経験、洞察、戦略は幅広い評価を受けつつあり、当社はシーメンスとの協力を通じて、この分野における市場進出を加速できるものと期待しています。」

販売時期
完全なVeloceハードウェア支援による検証システムは現在販売中であり、全世界の主要なお客様の実運用環境でご利用いただいています。

シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアは、エンジニアリング、製造、電子設計といった技術的分野を結合し、「将来」の目標を今実現するために努力を続けるデジタル企業を支援しています。 同社のXcelerator製品ポートフォリオは、あらゆる規模の企業がデジタル・ツインを作成 / 活用することで、イノベーションを推進するための新しい洞察力や機会、そしてさまざまな段階における自動化を促進する支援をします。シーメンスデジタルインダストリーズソフトウェアの製品およびサービスの詳細については、http://www.sw.siemens.comをご覧ください。

シーメンス デジタルインダストリーズについて
シーメンスデジタルインダストリーズ(DI)はオートメーションとデジタル化における革新的なリーダーです。パートナーやお客様と緊密に協力して、プロセス業界とディスクリート(部品組み立て)産業のデジタル・変革を牽引します。DIはデジタルエンタープライズポートフォリオによって、あらゆる規模の企業がバリューチェーン全体にわたって統合とデジタル化を実現するための、包括的な製品、ソリューション、サービスを提供します。各業界固有のニーズに合わせて最適化された、DIのユニークなポートフォリオは、お客様の生産性と柔軟性の向上をサポートします。DIは常にポートフォリオに革新性を追加し続け、未来の先端技術の統合に努めています。DIのグローバル本社の所在地はドイツのニュルンベルクで、世界に約76,000名の従業員を擁しています。

シーメンスAG(本社:ベルリンおよびミュンヘン)は、170年にわたり、卓越したエンジニアリング、イノベーション、品質と信頼性、そして国際性を象徴するグローバルなテクノロジー企業でありつづけています。ビルや分散型エネルギーシステム向けのインテリジェントなインフラストラクチャー、プロセス産業や製造業向けの自動化、デジタル化の分野を中心に、世界中で事業を展開しています。シーメンスはデジタルと現実世界を結びつけることで、お客様と社会に貢献します。鉄道、道路交通のスマートなモビィティー・ソリューションの主要サプライヤーであるモビリティを通じ、シーメンスは旅客および貨物サービスの世界市場の形成をサポートします。さらに上場会社であるSiemens Healthineersの過半数の株式を保有することで、医療技術やデジタル・ヘルスケア・サービスの世界の大手サプライヤーでもあります。また、送電および発電の世界のリーダー企業であり2020年9月28日に株式上場したシーメンスエナジーの過半数未満の株式を保有しています。2020年9月30日に終了した2020年度において、シーメンスグループの売上高は571億ユーロ、純利益は42億ユーロでした。2020年9月30日時点の全世界の社員数は約29万3,000人です。詳しい情報は、http://www.siemens.comにてご覧いただけます。

この資料は2021年3月26日に米国テキサス州プラノより発表されたプレスリリースを翻訳したものです。

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