TSMC、3D-IC設計を加速するAI技術の統合によりAnsysとの協業を拡大
AnsysのAI技術が3D-IC設計の生産性を向上させる一方、より広範な協業により、AI、HPC、高速データ通信半導体向けの革新的な3D-ICの熱、機械的応力、フォトニックソリューションを推進
ハイライト
- Ansysの人工知能(AI)を活用したソリューションにより、3次元集積回路(IC)のコンポーネントの設計生産性が向上し、重要な作業のシームレスな自動化を実現
- Ansysのマルチフィジックスプラットフォームが、進化する3D-IC設計におけるTSMCのお客様の信頼性解析ニーズをサポート
- AnsysとTSMCが、TSMCの光データ通信用Coupe(Compact Universal Photonics Engine)向けの包括的なマルチフィジックス解析ワークフローを開発
Ansys(NASDAQ:ANSS)とTSMCは、AIを活用して3D-IC設計を推進し、より広範な先進半導体技術に対応する次世代マルチフィジックスソリューションの開発に向けて協業を拡大しました。両社は共同で、3D-IC、フォトニック、電磁界(EM)、無線周波数(RF)設計を解析する新しいワークフローを開発し、より高い生産性を実現しました。これらの機能は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)、AI、データセンター接続、ワイヤレス通信向けの世界をリードする半導体製品を生み出すために不可欠です。。
AIによる生産性の向上
チャネルプロファイルなどの熱的および電気的効果を最適化する適切な3D-IC設計を作成するには、広範で時間のかかる設計フローが必要です。この制約を最小限に抑えるために、設計者はプロセス統合および最適化ソフトウェアAnsys optiSLang (R)を使用して、自動化を通じて最適な設計構成を迅速に特定します。optiSLangと設計解析およびモデリング向けのシリコンに最適化されたEMソルバー Ansys RaptorX™を設計プロセスの早期に統合することで、EMシミュレーションの回数を減らし、協調最適化されたチャネル設計を実証しました。この時間の節約により、設計コストが削減され、市場投入までの時間が短縮されます。
さらに、TSMC、Ansys、Synopsysは、長年にわたる協業を継続して、お客様に最適な技術ソリューションを提供しています。RaptorX EMモデリングエンジンとoptiSLangを組み合わせることで、お客様がアナログ回路をあるシリコンプロセスから別のプロセスに自動的に移行できる、革新的なAI支援RF移行フローを共同で開発しました。
【上図】TSMCとの協業により、3D-IC設計を加速するAI技術を統合
信頼性のためのマルチフィジックス解析
TSMCが3D-ICパッケージング技術を進化させるにつれて、高度なマルチチップ製造の信頼性を確保するために、熱および応力のマルチフィジックス解析が不可欠になりました。このニーズに対応するため、TSMCは3D-IC向け熱およびマルチフィジックスサインオフプラットフォームであるAnsys Redhawk-SC Electrothermal™とのコラボレーションを拡大し、機械的応力解析ソリューションを組み込むことで、相互のお客様の要件をより適切にサポートします。
TSMC、Ansys、およびSynopsysは、タイミング、熱、パワーインテグリティのマルチフィジックスカップリングの課題に対処するための効率的なフローを開発しました。Synopsysの探索からサインオフまでのプラットフォームである3DIC Compiler™とAnsysのソリューションであるRedhawk-SC ElectrothermalおよびAnsys RedHawk-SC™を組み合わせたフローは、設計課題の削減、パワー、パフォーマンス、面積(PPA)の向上、設計の信頼性確保を支援します。
また、AnsysとTSMCは、3D-ICの継続的な複雑化に対応するための階層化サポートの実装に重点を置きながら、3Dbloxの最新バージョンの共同サポートを継続していきますs。3Dbloxの新機能は、モジュール性と柔軟性を提供し、3D-IC設計者が設計の実装と解析サイクルを短縮できるよう支援します。
COUPEソリューションの実現
- TSMCのCOUPEは、フォトニックチップの上に電子チップを積み重ね、光ファイバーを電子システムに直接接続する3D-ICアセンブリです。Ansys、Synopsys、TSMCの3社は、幅広い物理特性をリンクさせたCOUPE設計ソリューションの実現に向けて共同で取り組んでいます。革新的な光学シミュレーションフローが統合されています:
- Ansys Zemax OpticStudio ®とAnsys Lumerical™FDTDによるサブ波長スケールのフォトニックデバイスとミリスケールのマイクロレンズのシミュレーション
- Ansys RedHawk-SCとAnsys Totem™による電力供給ネットワークのシミュレーションと信号ネットトレースにより、電気制御ICとフォトニックIC間の電圧降下が設計許容マージン内に収まり、信号が設計電流に耐えられることを確認
- 高周波信号の挙動を正確に捉えるために、マルチダイパッケージで高速チップ間接続をモデリングするためのRaptorX
- Redhawk-SC Electrothermalによる、重要なフォトニックヒートとデバイスコンポーネント、および3Dスタッキング全体のサーマルインテグリティのシミュレーション
A16への対応
TSMCは最近、革新的なバックサイドパワーコンタクト技術とバックサイドパワーデリバリーを含む、先進的な新しいシリコンプロセスA16を発表しました。これはAIおよびHPCアプリケーションに適している一方で、熱管理が信頼性に関する重要な考慮事項となります。この問題に対処するため、TSMCとAnsysは、RedHawk-SC Electrothermalが正確な熱解析を提供できるよう協業しています。さらに、TSMCはAnsysと協力し、RedHawk-SCとTotemでパワーインテグリティと信頼性技術を実現します。全体としてこのソリューションは、設計者が性能を向上させ、電力効率を高め、最適で信頼性の高い設計を実現するのに役立ちます。
TSMCのHead of Ecosystem and Alliance Management DivisionであるDan Kochpatcharin氏は、次のように述べています。
「当社の先進的なプロセスと3DFabricテクノロジーは、AIアプリケーションで増え続ける計算需要に対応するため、より強力でエネルギー効率の高いチップを実現する上で大きな進歩を遂げましたが、これには複雑なマルチフィジックス相互作用を深く理解した設計ツールも必要です。Ansysのような当社のOpen Innovation Platform(OIP)エコシステムパートナーとの協業により、私たちの共通のお客様は、ビジネスニーズに対応した信頼性の高いソリューションを提供するために、実績のある非常に幅広い解析機能への信頼性の高いアクセスを得ることができます」
AnsysのVice President and General Manager of the Semiconductor, Electronics, and Optics Business UnitであるJohn Leeは、次のように述べています。
「半導体が幅広いアプリケーションを持つのと同様に、Ansysのマルチフィジックスプラットフォームも信頼性の高い技術ソリューションを幅広く提供します。それが熱、構造、電磁界、または異なる物理現象の組み合わせのいずれであっても、当社はお客様が常に時代の一歩先を行くために最も強力な解析ツールを十分に備えられるように努めています。TSMCおよびSynopsysとの継続的な協業は、お客様のニーズを理解し、正確で予測精度の高いシミュレーションが最も強力な製品を提供する上でどのように役立つかを証明しています」
※なお、Ansysは先ごろTSMC 2024 OIP Partner of the Year を4つ受賞しました。詳細は以下のプレスリリースをご参照ください
TSMCが、AI、HPC、フォトニクスのシリコンシステム向け設計支援でAnsysを高く評価
Ansysについて
当社のミッション: 人類の進歩を促進するイノベーションに力を™
Ansysのシミュレーションは、ビジョナリーカンパニーが世界を変える革新的アイデアを、設計から現実のものにするために活用されています。50年以上にわたり、Ansysのソフトウェアは、様々な業界のイノベーターがシミュレーションの予測能力を活用して、限界を越えることを可能にしてきました。持続可能な輸送手段から高度な半導体まで、衛星システムから救命医療機器まで、Ansysは人類の進歩における次なる大きな飛躍の原動力となります。