2017年6月7日

アナログ・デバイセズ、RadioVerse™技術/設計エコシステムを拡張し、4Gから5Gへの移行に向けた基盤を構築

アナログ・デバイセズ社(NASDAQ:ADI)は本日、受賞歴のあるRadioVerseTM技術/設計エコシステムに最新機能を追加したことを発表しました。これにより無線通信事業者や通信機器メーカーは、セルラー基地局を4Gから5Gネットワークへと移行する際の無線開発をシンプルに、かつ加速させることができます。拡張したRadioVerse製品ポートフォリオには、新しい無線トランシーバ・ハードウェア、ソフトウェア・ツール、およびロバストな設計環境が含まれ、次世代ネットワークに求められるより小型かつ低消費電力の無線通信を実現します。これらの新機能により、5G移行における重要な構成要素である、4Gスモール・セルとプレ5G Massive MIMOシステム用の無線設計を迅速に評価/開発できるようになり、オフィス・ビル群やスタジアム、公共交通機関など、データ・トラフィックの多いユーザー密集エリアでの接続やスループットを向上させつつ、データ・レートを高速化できます。

RadioVerseの最新バージョンは、回路、アーキテクチャ、システム、およびソフトウェア・レベルで無線設計に対応し、アナログ・デバイセズの高集積/広帯域RFトランシーバ・シリーズの最新製品 AD9375RFトランシーバが含まれています。AD9375は、デジタル・プリディストーション(DPD:digital pre-distortion)アルゴリズムをチップに組み込んだ初のRFトランシーバであり、他の類似製品と比べてDPDの電力消費を90%も削減できる画期的な設計になっています。

DPDシステムをFPGAからトランシーバに再パーティショニングすることで、JESD204Bのシリアル・データ・インターフェースのレーン数が半減します。これにより、特にプレ5G Massive MIMOの無線チャンネルの密度要件に応じて基地局あたりのアンテナ数が2本から128本に増えるにあたり、劇的な電力削減効果を発揮します。また、無線回路のレイアウトがコンパクトになることで、配線やシステム設計を簡素化し、基地局を小型化するとともに、低価格でよりシンプルなFPGAを使って設計できるようになります。スモール・セルではこうした特長を生かして、セルあたりの周波数帯域を増やしてネットワーク容量を増加させつつ、システムの消費電力やサイズへの影響を最小限に抑えることができます。

AD9375トランシーバは、300 MHz~6 GHzの範囲でチューニングでき、6 GbpsのJESD204Bインターフェースで動作し、消費電力を5ワット未満に抑える無線プラットフォーム設計が可能です。受賞歴のあるAD9371と同様に、AD9375も2つの100 MHzレシーバ、2つの250 MHzトランスミッタ、2入力オブザベーション・レシーバ、3入力スニッファ・レシーバを備えています。本トランシーバの統合DPDソリューションは、最大40 MHzまでの瞬時信号帯域幅で、3Gおよび4Gの波形をサポートします。

RadioVerseトランシーバ・ハードウェア製品ポートフォリオにはAD9375の他にも、マクロセル/ピコセル/フェムトセル・フォームファクタの基地局アーキテクチャ用広帯域デバイスや、長距離対応およびネットワークの堅牢性、長期バッテリ駆動等を必要とするインダストリアルIoT(IIoT)アプリケーションに最適な超低消費電力の狭帯域トランシーバが含まれています。

RadioVerse技術/設計エコシステムにより無線開発を促進
RadioVerse技術/設計エコシステムは、無線性能を最大限維持しつつ、無線機器のSWaP(サイズ、重量、電力)を低減できるよう開発されたもので、AD9375をイネーブルしたJESD204B/アンテナ間無線シグナル・チェーンを含む、新しいスモール・セル無線リファレンス設計を提供します。これにより、エンジニアリングのコストを最小限に抑えつつ、設計をさらに簡素化し、市場投入までの期間を短縮できます。無線ソリューション・プロバイダのBenetel社と共同開発したリファレンス設計は、88 mm x 83 mmというスモール・フォーム・ファクタで、アンテナあたり250 mW出力により2×2 20 MHz LTEをサポートし、消費電力は10ワット未満です。

またRadioVerse試作評価プラットフォームでは、MATLAB®やSimulink®モデリング・ソフトウェアを使用したトランシーバの高度なシミュレーションおよび分析、FPGA開発プラットフォームに直接接続できるデバイス・ドライバやフル評価システム、構想から販売までの期間を短縮するためのサードパーティのハードウェアを提供しています。アナログ・デバイセズのEngineerZone®オンライン・テクニカル・サポート・コミュニティにアクセスすることで、市場投入をさらに早期化することも可能です。このコミュニティでは、カスタマー・サポート・フォーラム、クイックスタート・ビデオ、技術文書、Webキャスト、製品概要などを参照できます。

アナログ・デバイセズは今後も、NXP Semiconductors社やSkyworks Solutions社などの大手パワー・アンプ(PA)サプライヤと連携してRadioVerse設計環境を拡張し、多様な出力や周波数のPA製品を含むAD9375 DPDとのテスト・レポートを提供していく予定です。RadioVerseアライアンス・ネットワークは過去12か月で20社に拡大し、ドローン、無線監視、ソフトウェア無線市場を対象とした、7つの新規リファレンス設計を提供しています。

価格と提供時期
下記表中の価格は米国での価格です。

製品 サンプル出荷 量産出荷 単価 パッケージ
AD9375BBCZ

 

出荷中 出荷中 325ドル
(1,000個受注時)
12 x 12 BGA
ADRV9375-N/PCBZ 出荷中 出荷中 1450ドル AD9375
評価キット
ADRV-DPD1/PCBZ 出荷中 出荷中 2995ドル AD9375
スモール・セル
無線
リファレンス設計

【関連資料】
アナログ・デバイセズのRFトランシーバ製品シリーズを含む、RadioVerse技術/設計エコシステムに
ついて詳しくは、こちらをご覧ください。
www.analog.com/jp/applications/technology/sdr-radioverse-pavilion-home.html

AD9375 RFトランシーバの製品概要、データシートのダウンロード、サンプル、評価用ボード等の
詳細はこちらよりご参照ください。
www.analog.com/jp/products/rf-microwave/integrated-transceivers-transmitters-receivers/wideband-transceivers-ic/ad9375.html?ADICID=PRLS_JP_P1577

アナログ・デバイセズについて
アナログ・デバイセズは1965年の創業以来、高性能アナログで世界をリードし、さまざまな
技術的課題を解決してきました。世界にインパクトを与えるイノベーションを実現するために、私たちは最先端のセンシング、計測、パワーマネジメント、通信、信号処理技術で、アナログとデジタルとの懸け橋となり、世界の動きをありのままに描き出します。
想像を超える可能性を―アナログ・デバイセズ http://www.analog.com/jp

アナログ・デバイセズの公式Twitter(日本版)
・@AnalogDevicesJP

* 本リリースは2017年6月6日(現地時間)、米国で発表したプレスリリースを翻訳したものです。