2017年11月28日

AIなどの最新テクノロジーを活用し、システム構築・運用業務を変革

SEの知見を業務支援ツール「KIWare」として体系化し、社内適用を開始

当社は、これまでのお客様システムの構築や運用実績を通して蓄積してきたSEの知見を基に、AI(人工知能)などの最新テクノロジーを活用したSEの業務支援ツールを開発し、「KIWare(ケーアイウェア)」として新たに体系化しました。

「KIWare」の当社グループ内での活用を2017年11月より順次開始し、従来のシステム構築や運用に関する作業を変革することで、SEの業務の一層の効率化や品質向上を実現し、本格化するお客様のデジタル革新に対応していきます。

背景

近年、お客様を取り巻く環境は、IoTやビッグデータ、AIなどの最新テクノロジーの進化により大きく変化しています。そのような中、多くのお客様が現行システムの安定運用やデジタル技術を活用した新サービスの実現といった経営課題に直面しています。

当社はそれらの解決に向け、これまでのお客様システムの構築、運用実績の中で蓄積してきた知見をベースに、SE業務の効率化と高度化の両面から変革に取り組み、独自のシステム構築・運用支援ツール群を「KIWare」として新たに体系化しました。2017年11月より当社グループ内のプロジェクトで適用を開始します。

今後、「KIWare」をお客様のシステム構築や運用に適用することで、構築期間の短縮や品質向上、運用リスクの低減などを実現します。さらに、SE業務の効率化と高度化を実現することで、本格化するお客様のデジタル革新に対応していきます。

「KIWare」の概要

「KIWare」は、当社がこれまで培ってきた総合システム開発体系「SDAS(エスダス)」(注)に含まれているツール群に、AIなどの最新テクノロジーを活用した新たなツールを加え、社内での実証実験を経て体系化したものです。

図1:「KIWare」の各ツールの位置づけ

「KIWare」を構成する主なツールの概要は下記のとおりです。

プロジェクトマネジメント
【プロジェクトリスク予兆検知ツール(2018年度以降順次適用)】
当社が経験した過去のプロジェクトのデータを基に、プロジェクトの進捗に影響を及ぼすリスクのある項目をモデル化し、そのモデルをこれから開始するプロジェクトに適用することで、プロジェクトに含まれるリスクを検知するとともに、そのリスクを回避するための施策を助言します。本ツールを活用することで、プロジェクトのリスクの顕在化を未然に防止することが可能となります。
上流工程(システムの要件定義や業務設計など)
【設計書用語自動推敲ツール(2017年11月より適用)】
推進中のプロジェクトに関連する既存文書から、そのプロジェクト特有の用語や表記ゆれの発生パターンをAIで学習、モデル化し、設計書作成時に入力された用語の誤用や表記ゆれをリアルタイムにチェックすることで、適切な表記ができるように誘導するツールです。本ツールを活用することにより、設計書の作成効率と品質の向上を実現します。
開発工程
【リアルタイムマネジメントツール(2018年度以降順次適用)】
プロジェクトの進捗状況や品質状況をダッシュボード上で可視化し、プロジェクトマネージャーがリアルタイムに把握することを可能にするツールです。SEが利用する定型化された開発環境から、プロジェクトに関連した設計情報、プログラム情報、テスト実施状況等を自動収集し、より詳細な情報を分かりやすく可視化し、プロジェクトの状況をより正確に把握する事で、精度の高いプロジェクト管理が可能になります。
【ソース診断ツール(2017年11月より適用) 】
プログラムのソースコードのレビュー作業を実施する際、過去のプロジェクトのソースコードを、ディープラーニングを活用してモデル化することで、ソースコードの読みやすさや変更のしやすさを診断するツールです。従来のソースコードのレビューでは、膨大なソースコードを人手で確認していました。本ツールを活用することで、ソースコードの自動確認が可能になると共に、診断結果の中で示された問題点をレビュー担当者が原因分析を行い、効率的に対策を打つことが可能になるため、プログラムの品質向上やレビュー作業の時間短縮を実現することが可能になります。


図2:ソース診断ツール画面

運用保守
【運用ログ分析ツール(2018年度以降順次適用)】
自動収集したハードウェアやアプリケーション運用時のログ情報から、AIを用いて通常時の稼働状況を常に把握し、通常時とは異なる状況が生じた際に警告を発するツールです。本ツールを活用することで、システム障害の発生につながる予兆をいち早く検知し、障害の発生を防止することが可能になります。また、予兆検知が難しい突発的な障害が発生した際は、通常時と異常時のログを比較分析することで、異常の発生原因や影響範囲を特定し、迅速な対応を可能にします。
今後の展開

まず2017年11月から50件のプロジェクトに対して「KIWare」の社内適用を行い、2018年3月までに180件の適用を計画しています。さらに、2019年4月より海外拠点へも順次展開します。

当社は、システム構築・運用におけるAIを中心とした最新テクノロジーの活用をさらに強化することにより、デジタルビジネス時代を牽引するインテグレーションコンセプト「FUJITSU Knowledge Integration」の具現化を推進していきます。

以上

注釈
注 SDAS:
Systems Development Architecture & Support facilitiesの略。「短納期」「高品質」でのアプリケーション開発を実現するために当社が提供する総合システム開発体系。

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