2019年5月27日

フィンテックで取引内容を埋め込むQRコード「レシートQR」を発表 ~消費税率の改正によるデータ入力作業の負荷を大幅軽減~

一般社団法人フィンテックガーデン(理事長:義永洋士、本部:東京都千代田区、https://fintech-garden.com/)は、消費税率の改正による経理処理のデータ入力作業を軽減させるため、レシートに購入品名や金額、消費税、軽減税率消費税などの取引内容をQRコード内に埋め込むフィンテック(金融とITの融合)システム「レシートQR」を5月27日に発表しました。
フィンテックガーデンは、国内のフィードバック市場の拡大を推進するため、フィンテックデータを共通化するプラットフォームを実現するために2018年8月に設立され、活動を開始しました。

本年10月に予定されている消費税率の8%から10%へ変更に伴い、左記の図のようにレシートに「総額」、「消費税10%の対象金額」、「消費税10%」、「軽減税率消費税8%の対象金額」、「軽減税率消費税8%」、「非課税の対象金額」を記載する必要があります。 合わせて、経理処理もこの6つのデータを入力する必要があるため、データ入力作業が6倍に増加することになります。

フィンテックで取引内容を埋め込むQRコード「レシートQR」を発表
図1:適格請求書

そこで、フィンテックガーデンでは税理士を中心とした委員会「フィンテックを支援する税理士の会」で研究を進め、レシートに取引内容を埋め込むQRコード「レシートQR」という規格を策定し公表しました。

レシートQRの機能は、次のような手順により、レシートQRで読み込んだ取引内容をデータ化し、会計システムに取り込み利用することができます。
1)レシートQRをスマートフォンのアプリで撮影する。
2)イメージスキャナー(OCR)でレシートQRをスキャンする

フィンテックで取引内容を埋め込むQRコード「レシートQR」を発表
図2レシートQRサンプル

今回発表したレシートQRは、適用範囲がレシートや領収書ですが、その他の書類に展開が可能です。例えば、銀行の通帳をOCRで読み取ることは非常に難しく実用的なシステムやサービスは、ほとんどありません。通帳の明細をレシートQRのように印刷できれば読み取るだけで明細をデータ化しシステムに取り込めます。

国内のフィンテックデータは、APIが公開されていないか、または各社独自のデータフォーマットのため、様々なデータが個々に独立して共通化されていません。そのため各社のデータを取り込むためには、システムを一つ一つ開発しなければなりませんでした。
フィンテックガーデンは、API、システムの仕様などをエコシステム(複数の企業・団体が共存共栄する仕組み)として銀行や様々なフィンテック関連企業に公開して、自由に作成できるようにすることで、フィンテックの市場拡大と普及を推進する活動を展開する方針です。

<名称:レシートQR>
販売価格:1社30万円(導入台数無制限) ※税理士及びフィンテックガーデン会員は無償提供
想定ユーザー数:179万社
ターゲット市場:飲食業・小売業
販売目標:初年度1万7千社。向こう3年間で8万5千社
出荷時期:本年10月
販売チャネル:直販(サイトからの申込み)

<補足情報>
1.消費税率改正の課題
2019年10月1日から消費税、地方消費税の税率が8%から10%へ変更になり、新たに軽減税率制度が施行されます。またこの消費税率の変更に伴い「区分記載請求書等保存方式」も導入されます。そして2023年10月1日にはインボイス、「適格請求書等保存方式」が始まります。「適格請求書等保存方式」は適格請求書発行事業者の登録、免税事業者からの仕入税額控除ができないなど大幅な変更となります。

今までの経理処理はレシートの「総額」を税込金額で入力すれば良かったのですがインボイス方式により下記の図のようにレシートに「総額」「消費税10%の対象金額」「消費税10%」「軽減税率消費税8%の対象金額」「軽減税率消費税8%」「非課税の対象金額」を記載しなければなりません。もちろん経理処理もこの6つのデータを入力しなければなりません。つまりデータ入力作業が6倍になります。

そこで一般社団法人フィンテックガーデンでは税理士を中心とした委員会「フィンテックを支援する税理士の会」を作り研究を進め、レシートに取引内容を埋め込むQRコード「レシートQR」という規格を発表いたしました。

2.適用範囲の拡大
今回発表したレシートQRは適用範囲がレシートや領収書ですが、この手法はその他の書類に展開できる可能性があります。例えば、銀行の通帳をOCRで読み取ることは非常に難しく、実用的なシステムやサービスはほとんどありません。通帳の明細をレシートQRのように印刷できれば、それを読み取るだけで明細をシステムに取り込めます(「通帳QR」)。

インターネットバンキングを利用すれば、通帳明細を電子データとして取得することは可能ですが、その為にはインターネットバンキングの利用契約を結び、パソコンやスマートフォンを操作しなければなりません。残念ながら、これを国内の中小零細企業すべてに適用する事は難しいでしょう。今後、レシートQRのように印刷された情報であれば、ITに疎い企業でもインターネットに接続していなくても読み取ることができるようになります。また銀行やコンビニのATMで発行される利用明細書に通帳QRが印刷できるようになれば、パソコンやインターネットが苦手な人でも利用できると考えられます。今はまだ日本のフィンテックは過渡期と言えるでしょう。ただ将来を見据え、日本のフィンテックを進めていく上では、こうした「アナログ」と「デジタル」との融合を真剣に考えてみることが重要だと考えます。

<参考情報>
【フィンテックガーデンについて】
一般社団法人フィンテックガーデンは、国内のフィンテックデータを共通化するプラットフォームを実現するために設立されました。公開APIや公開フィンテックシステムをSierやプログラマ、企業が自由に利用できるプラットフォーム、データベースを順次公開していきます。

【フィンテックガーデン設立の背景】
国内のフィンテックデータは、APIが公開されていない、または各社による独自のデータフォーマットにより様々なデータが個々に独立し共通化されていません。そのため各社独自のデータを取り込むために、ひとつひとつシステムを開発しなければなりませんでした。そこでフィンテックガーデンは、国内のフィンテックデータを共通化し、システムをひとつ作成するだけで様々なデータを入出力する事ができるようになるシステムを開発していきます。

【フィンテックガーデンの未来】
フィンテックガーデンのAPI、システムの仕様などはエコシステム(複数の企業・団体が共存共栄する仕組み)として銀行や様々なフィンテック企業に公開し自由に作成していただけるようにします。またビッグデータや人工知能(AI)の活用、新しい決済手段なども検討していきたいと考えています。フィンテックガーデンは開発会社やベンチャー企業と協力しながら国内のフィンテック産業を育成していきたいと考えています。

【名称の由来】
フィンテックガーデンは金融だけで無く、保険や会計、電子領収書など業種業態により異なるプラットフォームを作成していきます。フィンテックガーデンの「ガーデン」の由来は個々の業種業態ごとのプラットフォーム、つまり「庭」を作るという所から派生しています。

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