2020年11月17日

AMD、「AMD EPYC™」プロセッサーと新しい「AMD Instinct™ MI100」アクセラレーターでHPCと科学研究を支援

AMD(米国本社:米カルフォルニア州サンタクララ、社長兼CEO:リサ・スー)は本日、オンラインで開催されている SC20にて、ROCm™ 4.0オープン・エコシステムをサポートする新たな「AMD Instinct™ MI100」アクセラレーターを発表しました。また、拡大を続ける「AMD EPYC™」と「AMD Instinct」アクセラレーターの採用や、クラウドHPCにおけるMicrosoft Azureとの連携についても発表しました。AMDは「Zen 3」コアを搭載した「第3世代EPYC」プロセッサーの提供を2021年第1四半期に予定しており、一般発売に先駆けて今四半期中に一部のHPCおよびクラウドの顧客に向けて出荷を開始する見込みです。

「AMD Instinct™ MI100」アクセラレーターは、科学的なワークロード向けの世界最速HPC GPUアクセラレーターとして、初めて10テラフロップス(FP64)を突破した製品です(注1)。新しい「AMD CDNA」アーキテクチャーを採用した本製品は、「第2世代AMD EPYC」プロセッサーと組み合わせることで、HPCおよびAI向けの新しいアクセラレーション・システムを実現します。また、Dell、HPE、Gigabyte、Supermicroの最新アクセラレーテッド・コンピュート・プラットフォームに対応し、「AMD EPYC」とROCm 4.0ソフトウェアと組み合わせることで、これからのエクサスケール時代に適応するよう設計されています。

AMDとMicrosoft Azureの連携によるクラウドHPC
Microsoft Azure は、「第 2 世代AMD EPYC」プロセッサーを活用して、HPC ワークロード向け HBv2 仮想マシン(VM)を稼働させています。これらの仮想マシンは、第1世代HB シリーズと比較して最大2倍のパフォーマンスを提供し(注2)、MPIでは最大80,000コアをサポートします(注3)。「第2世代AMD EPYC」プロセッサーのメモリー帯域幅は同等のx86プロセッサーと比較して最大45%拡大しています(注4)。

HBv2 VMは数多くの顧客に導入されています。米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のベックマン先端科学技術研究所では、従来トップクラスのスーパー・コンピューターを必要としていた植物ウイルスのモデル化に86,400コアを使用しています。またアメリカ海軍では、気象パターンや海洋パターンの予測をオンデマンドで迅速に展開、拡張しています。「第2世代AMD EPYC」プロセッサーを搭載したHBv2は、マイクロソフトが今年初めに発表したOpenAI環境のCPU演算能力の大部分を提供しています。

また「AMD EPYC」プロセッサーは、NAMDによるクラウドMPIスケーリングの新記録、Graph500でのトップ20ランクイン、クラウドHPC並列ファイルシステムで初の1テラバイト/秒達成など、HBv2が新たなクラウドHPCのマイルストーンを達成するためにも貢献しています。HBv2はその他のアプリケーション・ベンチマークにおいても、あらゆるパブリック・クラウドと比べて12倍のスケーリングを実現しています。

Azureは、「第2世代AMD EPYC」プロセッサーを搭載した既存のHBv2 HPC仮想マシンに加えて、次世代「AMD EPYC」プロセッサー「Milan(コードネーム)」を将来のHPC向けHBシリーズVM製品に採用することを発表しました。

AMDとAzureのコラボレーションについては、Azureのジェイソン・ザンダー(Jason Zande)氏とAMDのリサ・スー(Dr. Lisa Su)によるビデオをご覧ください。

HPC向けの継続的な取り組み
「AMD EPYC」プロセッサーと「AMD Instinct」アクセラレーターは、さまざまな実装において、多数のHPCワークロードをサポートする性能と容量を備えています。研究センターの小規模クラスターから商用HPC、オフプレミスやクラウド 、エクサスケール・コンピューティングまで、AMDはHPCソリューションの性能と選択肢を提供しています。

Hewlett Packard Enterprise(HPE)、CSC Finland、EuroHPCは先日、新しいプレ・エクサスケール・システム「LUMI」を発表しました。HPE Cray EXスーパー・コンピューター・アーキテクチャーをベースにした「LUMI」は、次世代「AMD EPYC」CPUと「AMD Instinct」アクセラレーターを採用しています。2021年のオンライン化の際には552ペタフロップスのピーク性能を発揮し、世界最速のスーパー・コンピューターの1つになると予想されています。

「LUMI」のほかにもAMD搭載のHPCシステムは増え続けており、SC19以降、「AMD EPYC」、「AMD Instinct」、またはその両方を搭載した15以上のスーパー・コンピューティング・システムが発表されています。主な搭載システムは以下の通りです。

Chicoma – ロスアラモス国立研究所:HPE Cray EXスーパー・コンピューター・アーキテクチャーをベースとして、「第2世代AMD EPYC」と300テラバイトのシステムメモリーを搭載し、COVID-19の研究に貢献しています。
Corona – ローレンス・リバモア国立研究所:Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security(CARES)からの資金提供を受けて、約1,000 台の「AMD Instinct MI50」アクセラレーターを導入、11 ペタフロップス以上のピーク・パフォーマンスを実現しています。
Mammoth – ローレンス・リバモア国立研究所:「ビッグメモリー・クラスター」と呼ばれる本システムは、「第2世代AMD EPYC」プロセッサーで、COVID-19の研究に必要となるゲノミクス解析とグラフ解析を実行します。
Northern Data:ヨーロッパの分散コンピューティング・システムとして、レンダリング、人工知能、ディープラーニングなどの大規模HPCアプリケーションに「AMD EPYC」と「Instinct」アクセラレーターを使用しています。
Pawsey Supercomputing Centre:HPE Cray EXスーパー・コンピューター・アーキテクチャー、「AMD EPYC」、「AMD Instinct」アクセラレーターを採用し、オーストラリアで最も高性能なスーパー・コンピューターとなる予定です。

さらに、AMDは以下のスーパー・コンピューターにも搭載されています。
Anvil and Bell – パデュー大学
Big Red 200 – インディアナ大学
Bridges2 – ピッツバーグ・スーパー・コンピューティング・センター
CERN
欧州中距離気象予報センター
Expanse – サンディエゴ・スーパー・コンピューティング・センター
ゲーテ大学フランクフルト
IT4Innovations国立スーパー・コンピューティング・センター
Jetstream 2 – インディアナ大学
Mahti – CSC
Mangi – ミネソタ大学
国立海洋大気局
Red Raider – テキサス工科大学
TinkerCliffs – バージニア工科大学

エクサスケール・コンピューティングに向けたサポート
研究者にエクサスケール級の性能を実現するため、AMDはオークリッジ国立研究所に新しい「AMD Instinct MI100」アクセラレーターへのアクセスを提供し、コンピューティングと相互接続の性能向上に貢献しています。「第2世代AMD EPYC」プロセッサーを補完するように設計され、「AMD Infinity」アーキテクチャー上に構築された「AMD Instinct MI100」アクセラレーターは、新たなクラスの高速化システムを可能にするとともに、HPCおよびAI分野に本来のヘテロジニアス・コンピュート機能を提供します。

研究センターの学生支援、自動車メーカーの空力効率向上、医療のブレークスルーに貢献するインサイトの提供など、AMDはこれからも、あらゆる分野で現在および将来のHPCワークロードに必要な性能、能力、規模を提供していきます。

AMDについて
AMDは、没入型プラットフォームやデータセンターに欠かせない要素である、ハイパフォーマンス・コンピューティング、グラフィックスと視覚化技術において50年以上にわたり革新をもたらしてきました。大手企業や科学研究機関が、人々の生活や仕事を向上させるためにAMDのテクノロジーを活用しており、世界中のAMD社員は可能性の限界を押し上げる優れた製品開発に注力しています。日本AMD株式会社は、AMDの日本法人です。

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