2022年2月3日

IAS、2022年の日本デジタル広告業界におけるトレンド調査結果を発表
マーケティング責任者らが最優先するメディアは、モバイル、デジタル動画、そしてソーシャルメディア。
アドフラウド、ブランド毀損リスク、ビューアビリティへの懸念は依然として深刻

  • 広告業界の専門家が最も優先すべきと考えるメディア環境とフォーマットは、モバイル(60%)、デジタル動画(53%)、ソーシャルメディア(45%)
  • 2022年に業界が直面する最大の課題は、第三者クッキーの非推奨化(38%)、データプライバシー法(27%)、ROIの正確な測定(26%)
  • アドフラウドは、モバイル(73%)、デジタル動画(74%)いずれにおいても重大な懸念と指摘
  • 広告業界のエキスパートの大半が、モバイル(71%)やデジタル動画(79%)の広告在庫の品質確保のためには「第三者による検証が重要」と回答

【2022年2月3日、東京】デジタルメディア品質分野のグローバルリーダーであるIntegral Ad Science(Nasdaq:IAS)は本日、2022年を方向付ける業界の動向を明らかにする調査レポート「The 2022 Industry Pulse Report 日本版」を発表しました。本レポートは、日本のデジタルメディア専門家125名を対象に実施したアンケート調査をまとめたものです。この調査結果から、今年日本の広告活動における最大の関心事は、モバイルエクスペリエンスの向上、ソーシャルメディアキャンペーンの品質保証、デジタル動画の活用拡大であることがわかりました。

今後1年間の業界の方向性として、以下の重要トレンドが示唆されています。
日本のマーケティング担当者はモバイル、デジタル動画、ソーシャルメディアに注力
メディアの専門家の60%が、最優先メディアとして「モバイル」をあげました。2022年、国内インターネットユーザーの81.2%が携帯型デバイスを介してメディアを消費するようになるとの予想からも、当然の結果と言えます。パンデミックによる規制は長引いているものの、人々が再び外出できるようになると、モバイル広告への支出は10%増加し、2022年に1兆7,000億円を超える見込みです。これにより、モバイル広告費は日本のデジタル広告支出全体のおよそ4分の3を占めるようになると予測されています。

次に重要視されているのは「デジタル動画」(53%)です。2022年には総人口の3分の2近い7,700万人までの拡大が予想されている国内の動画視聴者に対する広告効果に、業界の期待が集まっています。2022年に最もイノベーションの可能性を秘めているメディアとして、調査回答者の5人に3人が「CTVとデジタル動画」を挙げました。広告費もそれらの環境に投じられていくでしょう。

なお、2022年のデジタル動画広告費は24%増で4,800億円を突破し、デジタル動画広告費の92%はモバイルが占めると予想されます。
優先メディアの第3位は「ソーシャルメディアプラットフォーム」(45%)です。業界関係者は、ユーザー生成コンテンツ人気の高まりや、インフルエンサーマーケティングの成長を大きな機会と捉えています。

アドフラウド、ブランド毀損リスク、ビューアビリティに対する注目度の上昇
モバイル、デジタル動画、ソーシャルへの広告費が増加するにつれ、アドフラウドの脅威が大きくクローズアップされており、回答者の73%は、今年はモバイル環境における最大の懸念事項として「アドフラウド」をあげました。また74%が、広告付き動画??の在庫量が増加するにつれ、デジタル動画においてもアドフラウドはより深刻な課題となると回答しています。

一方、ソーシャルメディア広告に関しては、アドフラウド以上に深刻な懸念として「ビューアビリティ」をあげ、54%の回答者が、ソーシャルメディア広告の評価基準はビューアビリティが最優先であると答えています。また「ブランド毀損リスク」に関しては、71%がCTV環境におけるブランドリスクは、CTV在庫量とCTV販売者数が増加するにつれて増していくという意見に同意、または強く同意していることが分かりました。モバイル環境(50%)やソーシャルメディア(26%)のブランドリスクに対する脆弱さも強く指摘され、これらの状況から、メディアの専門家はモバイル環境(71%)およびデジタル動画環境(79%)におけるブランドの安全性を確保するためには、第三者による検証が重要になると考えています。

メディア品質はパブリッシャーだけの問題ではなく、チーム全体の課題
広告予算が縮小される中、アドフラウドやブランド毀損リスクを回避するためには、バイサイドとセルサイドの両方が広告検証プロバイダーと密接に連携し、チームとしてそれぞれが重要な役割を果たしていくことが求められます。

広告業界の専門家の大半が、モバイル(71%)やデジタル動画(79%)の広告在庫の品質を確保するためには「第三者による検証が重要」だと回答。ソーシャルメディアキャンペーンにあたっては、回答者の46%が、ソーシャルメディアプラットフォーム における品質指標の透明性が不十分な場合、広告費の支出にマイナスの影響を及ぼすと回答しました。しかし、アドフラウドやブランド毀損リスク回避の責任の所在については、回答者の大半がパブリッシャーやサプライサイドにあると考えているようです。調査では、回答者の39%がアドフラウド削減の責任はパブリッシャーにあるとしており、42%はブランド毀損リスク対策もまたパブリッシャー主導であるべきだと回答しています。

ソーシャルメディアキャンペーン品質維持のための重要課題
ソーシャルメディアキャンペーンで最優先されるのは「品質」です。eMarketerのデータでは2022年のSNS利用者数が約7,000万人に達するとされる日本国内で、ソーシャルメディア広告費は17%増加し7,000億円近くに達すると予測されています。ソーシャルメディアは間違いなく、日本で最も価値のある広告機会のひとつになるでしょう。一方で、本調査からは今後の課題も浮き彫りになり、マーケティング担当者の39%がソーシャルチャネルのアドフラウドに対する脆弱性を懸念していると回答。また専門家らは、ソーシャルメディアにおける品質の「透明性の不足」(46%)と、ソーシャルメディアに対する「消費者の信頼低下」(39%)が共に広告支出を見直す重要な要因になり得ると答えました。
IAS 日本カントリーマネージャーの山口武は次のように述べています。

「日本のメディア専門家は、モバイル、デジタル動画、ソーシャルメディアを最も重要な広告メディアと捉えています。こうしたメディアの拡大状況を考えれば驚くことではありません。今回の調査において、マーケティング担当者からは『メディア品質』の問題に加えて、『クッキーの非推奨化』や『データプライバシー関連規制』の変更に対する懸念も示されました。業界自体がよりコンテキスト(文脈)と関連づけた広告配信への転換を図る中で、今後、メディアの品質をより重視する必要が出てくると思われます。

日本国内の動画広告ではCPM(インプレッション単価)が高くなる傾向があるため、広告主は、質の高いインプレッションを期待できる様々なタイプの広告を組み合わせて活用する方向への転換を図り、アドフラウドやブランド毀損リスクを回避しながら、ビューアビリティを向上させるよう努めていくことが大切です。また、従来型のテレビ放送からデジタル動画への移行は、消費者が主導的な役割を果たしていくという見方において、メディアの専門家の意見はほぼ一致しています。広告主は今後、広告付き動画をTV広告と同様に扱い、広告検証ソリューションを活用しながら、アドフラウドやブランドリスクを回避するよう努めなければなりません。これにはJICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)のイニシアチブをはじめとする新たな取り組みが、業界にポジティブな変化をもたらすと確信しています」

IAS Industry Pulseレポートについて
IAS Industry Pulseレポートは、2022年のデジタル広告に影響を与える最新のトレンドや重要事項について紹介しています。この調査レポートは、2021年12月に日本国内のブランド、広告代理店、パブリッシャー、広告関連技術ベンダーでデジタル広告に携わる125名を対象に実施した調査結果をもとにまとめられたものです。

Integral Ad Scienceについて
Integral Ad Science(IAS)は、デジタルメディアの品質向上において世界をリードする企業です。1回1回の広告表示を有効活用し、実際の人間が安全かつ適切な環境で視聴できる広告の実現、コンテキストに基づいたターゲティングの活性化、供給経路の最適化に取り組んでいます。IASの使命は、世界トップクラスのブランド、パブリッシャー、プラットフォームが利用する、デジタルメディア品質の信頼性と透明性の世界的な基準となることです。IASは、データに基づいたテクノロジー、実行可能なリアルタイムの情報と知見により、これを実現します。2009年の設立以来、ニューヨークに本社を構え、世界中で何千社もの有数の広告主やパブリッシャーと協力しています。詳しくは、 integralads.com/jp/ をご覧ください。

Tags: