2022年9月1日

埼玉工業大学、エース・ウォーターと浄水場設備用制振装置を開発

~建物や機械設備の振動制御技術の研究成果を活かして共同開発~

埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市、学長:内山俊一、略称:埼工大、 www.sit.ac.jp/ )は、産学官連携を推進する中、工学部機械工学科皆川佳祐准教授(機械力学研究室)が研究成果を活かして、産学連携による製品開発をしました。
本共同研究は、9月5〜8日に開催の日本機械学会Dynamics and Design Conference 2022において発表します。
皆川佳祐准教授は、振動制御技術を専門としており、構造物の地震による被害を防ぐ免震・制振技術を主な研究テーマとしています。今回、これまでの研究成果を生かして、水処理装置の製造販売を行う(株)エース・ウォーター(本社:福岡県福岡市博多区、代表取締役社長:川島潤一郎)と共同で、浄水場に設置される傾斜板沈降装置の地震時の振動を抑制する装置(制振装置)を開発し、特許(特許第7075071号)を取得しました。

浄水場は安全な水道水を地域に提供するために欠くことのできない、市民の暮らしを支える重要な公共施設です。浄水場内の沈殿池では緩やかな水流の中で河川から取水した水の汚泥等を取り除きます。沈殿池に設置される傾斜板沈降装置は効率的に汚泥等を取り除くための装置ですが、大地震時の長周期地震動の卓越周期と水槽の固有周期が合致したとき、液面は大きく揺れ、水槽の壁面と衝突することで損傷する恐れがあります。

今回共同開発した装置は、特別に加工された金属棒の変形を利用して、地震時の沈殿池の水や傾斜板沈降装置の振動を抑制するものです。

<図1:制振装置の設置イメージ>

図1のように、傾斜板沈降装置の上部に設置し、水に触れることがないため、浄水性能に影響を与えません。

<図2:シミュレーションによる形状の最適化>

また、図2のようにシミュレーションにより形状が最適化されており、適度に傾斜板沈降装置を揺らして制振装置を変形させることで、力を逃がしながら振動エネルギーを吸収することが可能です。

<図3:実験による性能の検証>

図3のように、実際に製作した制振装置を試験し、制振装置が所望の性能を有していることを確認しています。

現在、実際の施設への適用に向けた具体的な検討も進めており、東北地方の浄水場への導入が決定しています。浄水場施設における耐震性能の向上は一層求められていますので、今後も導入事例が増えてくることが見込まれます。

●(株)エース・ウォーターについて
上下水道施設における機械・電気設備の設計・施工、水処理装置の製造・販売、輻射熱冷暖房装置の製造・販売を行っています。
www.ace-water.net

●機械力学研究室(皆川研究室)について
免震・制振・機械構造物の耐震や振動制御,エレベーター・エスカレーターの安全性などに関する研究に取り組んでいます。
www.sit.ac.jp/user/minagawa/

●埼玉工業大学工学部機械工学科について
機械工学科は、新たなものづくり技術・ロボット技術で、新しい価値を創造する人材育成を目指しています。本学科には機械工学専攻と、2021年4月に設置したロボット・スマート機械専攻の2つの専攻があります。
ものづくりを視野に入れて実体験を重視した現場型教育をベースに、IoTを利用し、AIを活用して、ロボットや次世代産業システム、次世代モビリティシステムなどを創造するエンジニアやクリエイターの育成にも力を入れています。さらにスマートファクトリーの実現に向けた人材育成に対応するため、最新の教育・研究環境を整備した機械工学科総合実験実習棟の利用を開始しました。

・機械工学専攻 https://www.sit.ac.jp/gakubu_in/kougaku/kikaikogaku/
・ロボット・スマート機械専攻 https://www.sit.ac.jp/gakubu_in/kougaku/robotics/
・学科オリジナルHP https://www.sit.ac.jp/gakkahp/kikai/

●埼玉工業大学について
1976年4月に現在の深谷市で大学を設置し、創立46年目を迎えます。埼玉工業大学は、工学部(機械工学科、生命環境化学科、情報システム学科)の3学科7専攻と、人間社会学部(情報社会学科、心理学科)2学科4専攻、計2学部11専攻で構成されます。
大学院において、工学研究科では、「機械工学専攻」、「生命環境化学専攻」、「情報システム専攻」の3専攻があり、人間社会研究科では、「情報社会専攻」と「心理学専攻」の2専攻があります。

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