愛・地球博記念公園において、自動運転の社会実装を見据えた実証実験に参加します
埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市、学長:内山俊一、URL www.sit.ac.jp/ )は、全国各地の実証実験に積極的に参加し、自動運転技術の研究・開発を強化しています。この度、愛知県が実施する2022年度「自動運転社会実装モデル構築事業」に協力し、愛・地球博記念公園において開催される自動運転の社会実装を見据えた実証実験に、共同事業体のメンバーとして本学も参加します。
本年度は、実運行において再現可能なビジネスモデルの構築を目指すことを目的とし、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:丸岡 亨)を幹事会社とする共同体で愛知県より委託を受け事業実施をいたします。
<写真:使用車両の大型バス>
この実証実験の一環として、愛・地球博記念公園(長久手市)において、「園内バスルートでの自動運転バスによる運行」をテーマに、公園利用者等の移動手段を想定した実証実験を行います。本年度の特徴としては、愛・地球博記念公園において、大型バスによる自動走行を初めて実施します(園内バスと同型のバスを使用。)。また、AI映像解析技術※2 を活用し、園内の歩行者に対して音声によるバスの接近の注意喚起を行います。さらに、複数のカメラ映像を5Gにより伝送し、遠隔管制※3 者がルート上の危険を検知し、遠隔管制室と車両との間でコミュニケーションを取り、事故等を防ぎます。その他にも、車両と歩行者の動きに関するシミュレーションを行い、
自動運転バスと歩行者の安心・安全な共存の在り方を検証し、将来の園内における自動運転サービスの実装を目指します。
1 実施日程
2023年2月10日(金)から2月12日(日)まで、2月14日(火) 計4日間
○日程:2023年2月10日(金)
時間帯:午前10時10分から午前11時まで
発車時刻:午前10時20分
ルート:園内西ルート
試乗者:愛知県知事
時間帯:午前11時から午後1時まで
発車時刻:午前11時/午前11時30分/正午/午後0時30分
ルート:園内西ルート
試乗者:報道機関
○日程:2023年2月11日(土)、2月12日(日)
時間帯:午前11時から午後4時まで
発車時刻:
■一般(予約受付)
各便5名まで事前予約枠を設定
午前11時/午前11時30分/
午後1時30分/午後2時/午後2時30/午後3時/午後3時30分
■一般(当日受付)
各停留所にて乗降
ルート:園内西ルート
試乗者:一般試乗者
○日程:2023年2月14日(火)
時間帯:午前11時から午後2時まで
発車時刻:
■実証実験関係者
午前11時/午前11時30分/午後1時30分/午後2時
ルート:園内管理道路ルート
試乗者:実証実験関係者
※ 天候等の条件により、内容が変更になる場合があります。
2 実施場所及び走行ルート
園内西ルートと園内管理道路ルートを運行します。
※ 天候等の条件により、内容が変更になる場合があります。
【園内西ルート】
園内バス西ルートの一部を走行し、歩行者と自動運転バスの安心・安全な共存の在り方を検証
【園内管理道路ルート】
樹木等によりGNSS※4 の電波を検知しづらい環境においても、LiDAR(ライダー)※5 で測定した周囲の情報と3Dマップとを照合して位置推定をする方式により自動走行を実施し、課題を抽出
>詳細は別紙(プレスリリース)参照
ルート詳細
S:出発点/G:終着点
園内西ルート
<使用する園内停留所一覧>
- 西駐車場 4. 愛知県児童総合センター
- 花の広場 5. 大観覧車
- 北1駐車場 6. 水のエリア
園内管理道路ルート
3 使用車両
ルート:園内西ルート、園内管理道路ルート
車両:大型バス
自動運転システム構築企業等:埼玉工業大学、アイサンテクノロジー株式会社
試乗定員/便:15人
仕様:・ 自動運転OS「Autoware※6」を使用
・GNSS及び事前に取得する高精度3Dマップを使用して走行
4 実証実験の特徴
(1) 愛・地球博記念公園において大型バスによる自動走行を初めて実施
愛・地球博記念公園において、大型バス(現在運行中の園内バスと同型)による自動走行を初めて実施します。本実証実験では、交通事業者が運行を担当して、自動運転バス車内外の安全や運行面での課題抽出を行い、安心・安全な運行方法の確立を目指します。
(2) 歩車混在環境におけるAI映像解析技術を活用した注意喚起
多数の歩行者による往来が見込まれる北1駐車場付近の走行ルート上にて、AI映像解析技術により周辺の歩行者の状況を分析し、自動運転バスの接近時に路側に設置したスピーカーから音声にて注意喚起を行うことにより、歩行者と自動運転バスの安心・安全な共存の在り方の検証を行います。
(3) 5Gを活用した危険箇所リスクの検出
本実証実験では、走行ルート上や車両内外に設置した複数のカメラ(路側/車載カメラ)を5G等に接続して、運行状況を鮮明な映像により遠隔管制室にて監視し、遠隔管制室と車両との間でコミュニケーションを取り、事故等を防ぎます。
車載カメラには株式会社東海理化の提供する画像処理システムを活用することで、遠隔監視の複数画像を統合し、車両周囲の死角が少ない映像を伝送して、遠隔管制者の負荷を軽減します。
路側カメラは、車両から死角になる場所や子供を含めた歩行者の移動が多い危険箇所に設置して有効性を分析し、将来の園内での自動運転サービスの実装に向け活用できるようにします。
路側カメラにはENWA(エンワ)株式会社の提供する映像伝送システム「DiCaster(ディーキャスター)」を採用することで、専用の機材を用意することなく、スマートフォンにて高精細な映像を低遅延で伝送します。
(4) 車両と歩行者の動きに関するデジタル空間上でのシミュレーション(参考実証)
車両の走行に対する歩行者の危険認知感覚をAIで再現し、歩行者にとって安心感のある自動運転車両の速度・経路等の走行方法をシミュレーションにより検証します。歩行者の危険認知感覚は、事前に5名の男女のモニターに様々な条件の車両の走行映像を歩行者視点で視聴してもらい、その際の脳活動データ等をAIで解析し危険認知スコアとして数値化することで、歩行者の反応(回避行動)をデジタル空間上で再現します。デジタル空間内で、車両の速度、車両が歩行者に向かってくる方向、車両までの距離等の数値を入力し、自動運転バスが走行している園内の状況を再現します。
デジタル空間において、多数の歩行者の往来が見込まれるエリアの自動運転車両と歩行者の動きの関係性をシミュレーションします。自動運転車両の走行条件の速度や走行経路、歩行者の往来量を変更させることで、歩行者にとって安全な自動走行の実現につなげます。
将来的には、自動運転車両の速度・経路等の設定にシミュレーション結果を活用することを想定しています。本実証実験では、シミュレーションによる歩行者の動きと実際の歩行者の動きを比較することで、シミュレーションの有効性を検証します。
5 事業実施体制
○エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社を幹事会社とする共同体で事業実施
・エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社/株式会社NTTドコモ:
事業統括、車両調達、遠隔管制システムの提供、通信環境構築、
5Gを活用したソリューションの提供
・アイサンテクノロジー株式会社:3Dマップの作製、走行調律作業の実施
・埼玉工業大学:自動運転バス車両の提供
・株式会社ティアフォー:自動運転OS「Autoware」の運用支援
・岡谷鋼機株式会社:社会実装に向けたアドバイス
・損害保険ジャパン株式会社:自動運転リスクアセスメント
・名鉄バス株式会社:遠隔管制者、車内保安員、交通事業者としての運行支援
・株式会社東海理化:遠隔監視の映像を統合するシステムの提供
○協力会社
・株式会社エヌ・ティ・ティ・データ/
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ東海:AIによる走行条件シミュレーション(参考実証)
・ENWA株式会社:映像伝送システムの提供
詳細は、別紙プレスリリースを参照願います
6 一般の方の試乗について
(1) 日程
2023年2月11日(土・祝)及び2月12日(日)
(2) 使用車両・実施内容
ルート:園内西ルート
車両:大型バス
自動運転システム構築企業等:埼玉工業大学、アイサンテクノロジー株式会社
試乗定員/便:15人(着座)
実施内容等
・ 園内西ルートを周回します。
・ 定時運行です(時刻表は各停留所にあります。)。
・ 「西駐車場」を出発地点とします。
・ 事前予約枠を各便5名まで設けます。
・ 事前予約いただいた方は、花の広場休憩所で受付を行いますのでお越しください
(事前予約の場合、乗車場所は花の広場停留所となります。)。
・ 事前予約なしで当日乗車される方は、直接各停留所までお越しください
(先着順のため乗車いただけない場合があります。)。
(3) 申込方法
事前に以下の申込専用サイトで予約いただくと、確実に乗車可能です(各便5席確保)。予約される場合は、発車時刻をよく御確認の上、試乗日の前日までに専用サイトから予約してください。
また、当日は発車時刻の10分前までに花の広場休憩所で受付を行ってください。その際、予約受付メールを持参してください(スマートフォン等によるメール画面の表示でも可)。
(申込専用サイト)
[URL] coubic.com/2022-aichi-jidounten
7 知事試乗時の取材及び報道関係者の試乗について
2月10日(金)に報道機関向けの試乗会を実施します。
当日の取材を希望する方は、愛知県ホームページより「自動運転取材連絡票取材申込書」をダウンロードし、2月8日(水)正午までにFax又はメールでお申込み下さい。
用語説明・補足
詳細は、別紙プレスリリースを参照願います
※1 5G:通信キャリアがサービスとしてスタートした第5世代移動通信システム。高速、大容量通信が特徴。
※2 AI映像解析技術:AIにあらかじめ車両や人物等を学習させ、カメラに映った映像の内容を解析する技術。
※3 遠隔管制:自動運転車両の運行を遠隔からの映像をもとに管理・制御すること。
※4 GNSS:Global Navigation Satellite Systemの略。人工衛星から発射される信号を用いて自己位置などの測位を行う技術。
※5 LiDAR:Light Detection and Rangingの略。レーザー光を使って離れた場所にある物体の形や距離を測定するセンサー技術。
※6 Autoware:自動運転システム用オープンソースソフトウェア。
The Autoware Foundationの登録商標。
<関連情報>
●愛知県 報道発表 2023年1月26日
愛・地球博記念公園において自動運転の社会実装を見据えた実証実験を実施します
www.pref.aichi.jp/press-release/jidounten-morikoro-2022.html
●埼玉工業大学 自動運転関連情報
・自動運転特設サイト:http://saikocar.sit.ac.jp/
・埼工大プレスリリース:中部国際空港島における自動運転の実証実験に参加します
www.sit.ac.jp/news/221020_1/
・動画:ITS World 公式TVによる本学の自動運転への取り組み